水稲栽培を紹介します。
毎年、1ほ場を基肥用として緑肥を鋤込みます。2013年産まではれんげそうを作付けしてきましたが、雑草に負けてしまうので2014年産から雑草に強く、生育旺盛なヘアリーベッチを作付けしています。鋤込みは毎年5月連休明けです。
2016年10月の播種後、淺耕耘しないヘアリーベッチは発芽率が良好だったので、それ以降その栽培方法で行っています。
ヘアリーベッチは土壌に窒素を固定する緑肥として利用されるマメ科ソラマメ属のツル性植物で、雑草抑制効果(成分はシアナミド)が高く、地力増進効果も高いそうです。
確かに、今のところこの圃場では水田雑草の広がりはありません。
ただ、開花・結実した種子が周辺部の畦畔や水路の土手に繁殖しない様に注意する必要があります。
種子はヒノヒカリです。1箱(30×60㎝)当たり105g播種。
種子消毒は、農薬は使わず酵母菌処理で行い、ビニールを敷いたプールに水を貯めて苗を育てます。田植に使う苗は、2022年産は20日苗を使用しました。育苗作業は病害虫の発生に細心の注意が必要です。
6月下旬の田植え後から7月上中旬頃、水田にはカブトエビのほかホウネンエビ、カイエビなどが泳ぎ回り、賑やかになります。
その後7月下旬から中干・間断潅水で水を切るので、それ以降、田んぼで泳ぎまわる主な生きものは主に「かえる、おたまじゃくし」となります。私が小さい頃はドジョウ、ザルガニ等が一杯いて、懐かしいです。
カブトエビ
2016年7月6日撮影。
ホウネンエビ
2019年6月28日撮影。孵化直後だと思われます。
2014年産から全ほ場で除草剤を使わないで、クスミリンゴガイ(外来種で通称ジャンボタニシ)と水田除草機を併用した除草を行っています。
当初は雑草をほぼ抑えることが出来ていましたが、除草剤を数年以上散布しなくなると、次第に様々な雑草が発生するようになってくるので、丁寧な代掻きや深水管理、畦畔からの雑草侵入防止等と併用した雑草のコントロールが必要です。
最近、秋うんか(トビイロウンカ)の発生が多くなって来ているのではないかと思います。地球温暖化などが増加に関与しているのか、原因究明が待たれるところです。昭和の頃はニカメイチュウが大害虫でしたが今では見たことはありません。
2014年産から殺虫剤は全く田んぼで使用していないので、収穫期まで持ちこたえるのか心配していますが、部分的には食害されて坪枯れを起こし減収しています。
2012年9月に遠赤外線乾燥機を導入しました。この乾燥機は、乾燥時間の短縮などで燃費が従来型に比べ大幅に削減出来、太陽光に含まれている遠赤外線を含むため、穀物の表面と中心部にほとんど温度差が生じず、自然に近い乾燥ができるため、食味が向上します。
お米はほ場毎に土壌条件などで食味が異なるため、田んぼ毎に分別して保管しています。
まず乾燥したら籾で保管し、温度の上昇とともに穀物害虫が発生するので、3月下旬頃までに8割程度を籾摺りして13℃前後の保冷倉庫に移します。
その後、消費に応じて精米し消費者に届けます。
2019年産以降は米穀検査の都合で2019年11月で全てのお米の籾摺及び検査は終了しています。